『花と錬金術』によせて〜その2

フラワーエッセンスとは、花の生命力とその癒しの力を水にうつしたものです。
主として飲むことで、人間の感情、精神、エネルギーレベルのバランスを整え、
心身の調和を取り戻せるようにサポートしてくれます。

1930年代に、イギリスの医師バッチ博士によって開発されて以来、世界各国で愛用されています。
日本でも、この十数年来、自然療法の一種として個人や代替療法家に用いられているほか、
精神的な成長を求める人たちの間でも広く使われています。

バッチは、病気の原因を物質的なものではなく、その人の心の状態にあると考えました。
ですから、エッセンスを用いる時には、心の状態に応じてエッセンスが選ばれます。
たとえば、気が短くてイライラしている場合には、インパチエンスのエッセンス、
特定のものや条件などに恐れや不安を感じる場合には、ミムラスのエッセンスを用います。

そこで、エッセンスを使いこなすためには、各エッセンスがどのような状態で用いられるかをおぼえる必要があります。
その場合、市販の解説書が、おおいに参考となるでしょう。
それぞれの心の状態について詳しく解説されているほか、使用例なども数多く紹介されています。

しかし、なぜ短気な人に対して、インパチエンスが使われるのでしょうか。
そもそも、インパチエンスのエッセンス自体が、一体どのような性質のものなのでしょうか。
それを理解するためには、まずフラワーエッセンスそのものの性質を知らなければなりません。

最も重要な点は、フラワーエッセンスとは一種のバイブレーションであるということです。
ですから、エッセンスは共振・共鳴という形で働きます。
つまり、同じ性質を持つもの同士が響きあうことで、さまざまな効果がもたらされるわけです。
言い換えるならば、イライラしている人に用いられるのがインパチエンスのエッセンスであれば、
インパチエンスという植物にも、短気やイライラを象徴する何かがあるはずなのです。

こうした性質は、その植物の形態や生態に徴(しるし)としてあらわれています。
古来、錬金術師たちは、その特徴を読み解くことで、そのものの薬効を知り、秘薬を作りました。
この作業は、自然界の事物の中に、自分と同じ性質を持つものを探求することにつながります。
そこには、ミクロコスモス(小宇宙)とマクロコスモス(大宇宙)の照応という、古くから言われている世界観があるのです。

フラワーエッセンスの働きも、ミクロコスモスである人間と、マクロコスモスである自然界の、共振・共鳴であると言えるでしょう。
その神秘を理解するための鍵は、特徴表示の理解にあります。
『花と錬金術』は、この特徴表示をテーマとして、フラワーエッセンスの神秘を探求した本です。
フラワーエッセンスの理解を通して、自分自身の内なる世界を垣間見ることができるでしょう。


バッチフラワー 花と錬金術』 東 昭史著/大槻真一郎編集協力/東京堂出版刊(2007年4月10日発行)